アメリカ 抗議デモ 世界各地に飛び火

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   アメリカの抗議デモ 全米50州で 世界各地でも

               8日付の東京新聞

ミネソタ州の黒人男性ジョージ・フロイドさん(46)が白人警官に暴行され死亡した事件への抗議デモが世界各地に広がっている。

米国内では6日、首都・ワシントンの抗議デモに1万人以上が参加。全米50州でデモや集会が開かれた。

デモはイギリスやドイツなどヨーロッパにも飛び火。さらに日本でも7日、大阪市内で約1000人が「黒人の命を守れ」とデモ行進した。

こうした事態にトランプ大統領は7日、首都ワシントンで活動する州兵の撤兵を命じたとツイッターで表明した。「法と秩序」を訴えて強硬姿勢を示してきたトランプ大統領も大統領選を控え、盛り上がる抗議のうねりを前に、軟化せざるを得なかったのか。

この問題を巡っては宇野重規・東大教授が東京新聞の「時代を読む」というコラムで示唆に富む一文をしたためている。

●トランプ大統領が口にした「法と秩序」は、1968年、ニクソン大統領が受諾演説で使った言葉。この年、マーチン・ルーサー・キング牧師が白人男性に暗殺された。

●トランプ氏は、元大統領にならって秩序の擁護者を自任するつもりだろうが、むしろ「米国を分断させようとしている」ように思えてならない。

●このような状況について、1918年からのスペイン風邪流行、29年以降の世界恐慌、そして63年にあった公民権運動のワシントン大行進が、同時に起きているようなものだという声もある。

一部を抜粋してみたが、いかがだろうか。歴史は繰り返すというが、3つの時を隔てた歴史的事象が、2020年という年に重なって起きている。これは米国の問題ではあるが、決して米国だけの問題ではない。感染症のパンデミック・経済恐慌、そして人種差別。世界に危機をもたらす普遍的なテーマである。もちろん、日本とて例外ではない。

米社会における黒人の人口比率は13・4%


            米国商務省のデータ 

ところで、現在のアメリカ社会における人種別の人口構成はどうなっているのか。米商務省の調査データ(2019年7月)によると、多い順に白人系60・4%、ヒスパニック系18・3%、黒人系13・4%、アジア系5・9%などとなっている。

黒人初の大統領となったオバマ前大統領をはじめ、NBA、MLB、NFLなどのプロスポーツ界、ハリウッドの名優たちなど、最近のアメリカ社会では黒人の存在感が際立っている。NBAに至っては2016-17年シーズンの選手構成の74%を黒人が占めているのだ。その黒人系の人口比率が13%台でしかないという事実を、日本人はどれだけ知っているだろうか。恥ずかしながら、筆者自身も3割程度かと思っていた。それほど黒人の存在感が高いということだ。

にもかかわらず、キング牧師暗殺から50年以上たった今日においても人種差別はなくなっていない。これは重い事実だ。

ちなみに国勢調査局のデータによると、40年後の2060年のアメリカ社会の人種割合は、白人系40・6%、ヒスパニック系28・6%、黒人系13・0%、アジア系9・1%と予測されている。そのとき、人種差別はなくなっているだろうか。


 

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