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東洋経済オンライン 「緊急事態宣言」で東京一極集中に高まるリスク
昨年の4月以来、2度目の緊急事態宣言が発令された東京。
昨年は4月、6月、7月、8月、9月、10月、11月と6回も都の人口が
転出超過となり、「一極集中に歯止めか」「コロナ禍で移住に関心」などと
メディアが報じた。最近の大新聞の社説にも同趣旨の記事が載っていた。
コロナ禍への恐怖や、テレワークの推進で地方や首都圏近郊に生活拠点を
移した人がいるのは事実だろう。
しかし、2019年12月1日から2020年12月1日の1年間で、東京都の
総人口(住民基本台帳ベース)は8753人増加している。その内訳に注目だ。
外国人が3万7538人減少しているのに対し、日本人は4万6291人増えているのだ。
つまり、日本人に限ってみると、東京一極集中には全く歯止めはかかっていないのである。
コロナ禍でさえ、東京の日本人人口が増えるという事実。そこに気が付かないと、一極集中
是正も地方創生も、絵に描いた餅に終わってしまう。
まだ膨張を止めない巨大都市東京では、1日あたり1080万人の通勤・通学者が移動して
いる。通勤・通学だけで、日本の総人口の12分の1が東京を舞台に動き回っているのだ。
その1000万人がランチを食べ、職場や学校で会話をし、夜になれば一部のサラリーマン
らが酒場に繰り出す。
この流れを劇的に変えない限り、コロナ感染を食い止めることは不可能だろう。
そのコロナ禍も変異種の侵入で、感染力はどこまで強まるのか。
一極集中で怖いのはコロナ禍だけではない。首都直下大地震やゲリラ豪雨、河川決壊など
自然の脅威がいつ襲うかもしれない。
世界有数の巨大都市が抱える深刻なリスクについて真剣に考えなければいけないだろう。
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