東京一極集中
4日付の朝刊に「地方創生『進まず』89%」という記事が載っていた。日本世論調査会が
昨年11月から12月にかけて実施した調査結果である。
「地方創生」は8年間続いた安倍前政権の看板政策だったが、世間は看板倒れという評価を下
した。逆に言えば、東京一極集中が一向に是正されていないと捉えているわけだ。
東京一極集中の是正については79%が「是正すべき」「ある程度是正すべき」と答え、
東京一極集中の問題点についての質問には、
① 東京との格差が広がり、地方の過疎化や経済の衰退が進む 65%
② 地震などの災害が起きると、政府や経済の中枢機能がまひする 62%
この2点に回答が集中した。
一極集中是正に向けた有効な政策で多かったのは次の通り。
① 企業の本社移転を促す 37%
② 子育て世代が地方移住しやすい環境整備 34%
③ 東京と地方の賃金格差是正 30%
④ 地方のIT環境整備、テレワークしやすく 30%
⑤ 国の機関の地方移転 24%
この先の展望についてはどうか。
コロナ禍を機に一極集中が緩やかになるかどうかについては76%が「緩やかにならない」と
悲観的な見通しだ。
東京一極集中の必要性、問題点、是正に向けて必要な有効策を示しながら、将来展望は懐疑
的というのが今の日本の世論ということだ。
長年の懸案事項であるにもかかわらず、なぜ、一極集中の是正が進まないのか。
ズバリ、それは東京に既得権益が集中しているからだ。
人、情報、カネ。
新自由主義を形成していくうえで欠かせない3要素が、すべて東京に集積している。
デジタル化時代になっても、その本質は変わらない。
コロナ禍で「会食を控えよ」と言っておきながら、時の政権担当者が堂々と大人数の会食を
行っていた。そこ(会食現場)には、各界に影響力のある人、有益な情報、人物のバックに
あるカネ(利権)が揃っている。おいしい蜜を吸うには、地方に首都機能を移すわけにはい
かないのだ。
今週中には1都3県に緊急事態宣言が出ることになりそうだ。
2回目である。
これを機会に国のあり方、政治と国民の距離感、人々の暮らし方、生き方、働き方、
さまざまなことを、すべての国民が見つめ直し、意思表示をしていくことが必要だろう。
既得権益にしがみつく政権が続く限り、この国の将来に明るい展望はない。
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