鮭の帰る川

先週、取材でほぼ1週間北海道にいた。

時間が空いた平日の午後、拠点の家の裏を流れる

ウヨロ川(白老町)を散策した。

この時季、鮭が海から遡上し、中流から上流域で産卵をするのである。

娘が小学生だった15年ほど前、初めて鮭の遡上を見かけて以来、

秋に訪れる際は必ず様子を観察すようになった。

婚姻色に染まったオスと一回り小さなメスがつがいで波に逆らうように

浮遊している姿はほほえましい。

やがて彼らは荘厳な生命の継承の儀式を終え、朽ちていく。

親は子の顔を見ることなく、子も親を知らずに春まで川で育ち、

やがて大海へ下っていく。そして数年後、生まれ故郷の川へ戻り、

次の子孫を残して果てていく。

幅20メートルほどの小さな川に、生命の歴史が切り刻まれていく。

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